ぱぱの背中

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落語(江戸前)

「志ん朝の落語」を読むと言うこと(その1の2)

2018/08/17

作家の小林信彦が「古今亭志ん朝と同じ時代に生きられる幸せ」という表現をしていますが、peteramはその時代をすっかり取り逃がしてしまっていたわけです。これを多少なりとも取り返すためには、書籍かCDに頼るしかありません。

で、ここがpeteramのいやなところなんですが、たとえばシリーズものの書籍が20冊出ているとすると、その20冊をとりあえず購入しなければならないわけです。とりあえず1冊様子を見るってことが、できないんです。その性格が災いして、これまで落語のCDの購入に踏み切れなかったのですが、書籍の場合、そこまでの金銭的ボリューム感が無いのが幸い。

「志ん朝の落語」と出会った書店には、全六冊中五冊しかなかったんで、パス。そそくさと帰宅すると、amazonに向かうのでした。

で、2、3日後届いたやつは、豪華(嘘)化粧箱入りの代物。全6冊で約6000円と、文庫本としては若干高価。化粧箱から語りかける志ん朝がいい表情をしています。

肝心の6冊の構成はこんな感じ。

  1. 男と女
  2. 情はひとの…
  3. 遊び色々
  4. 粗忽奇天烈
  5. 浮きつ沈みつ
  6. 騒動勃発

テーマごとに噺をまとめて書籍化している様子。編者は京須偕充。ソニーミュージック時代に古今亭志ん朝の全CDをプロデュースした人物。いやでも期待の持てるスタッフです。そんな方が、音無しで、どのように古今亭志ん朝を再現するのかが見物だったわけです。

peteramはそもそも古今亭志ん朝体験がないので、頭をまっさらにして文字に向かったのですが、こぅ、なんってんですかねぇ…声が、生の声が聞こえるような、まぁ、そういう文章に、なってるんですね。

実際に第一巻の冒頭の明烏のまた冒頭を引用してみると、こんな感じです。

えェ、男の道楽ってえますと、「飲む・打つ・買う」ということンなってますが、ま、この三つはたいがい好きなんですがね…。中には、おれァどうも博打ァいけねえや」とかね、「どうもあたくしはお酒はいただけません」なんてえ方がいますが、男と生まれた以上、ご婦人の嫌いな方と言うのはまずいないですね。…やっぱりこの、(強く)女というものぐらい、いいものはないと…あたくしなんぞも、つくづく思っておりますが…。

「あいうえお」の使い方です。ポイントは。これをちゃんと追うと追わないでは味わいがまるで違ってきますね。その他の細かい表現をしっかりと追えるかどうかで、6000円の価値が変わるのです。

そんな意味で、peteramには、CDで聞く以上に臨場感があるように思えてならないのでした。

つづく(たぶん)

名人―志ん生、そして志ん朝
小林 信彦
朝日新聞社
2003-01

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