ぱぱの背中

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落語(江戸前)

「志ん朝の落語」を読むと言うこと(その1の3)

2018/08/17

そういうわけで、古今亭志ん朝を初めて読み始めたpeteramだったわけです。

で、全6冊のうち、今回紹介するのはその一冊め。「男と女」。

peteramが落語を聴いて「良いな!」と思うポイントの一つは、女性をきちんと表現できているかどうかにかかる部分があります。おそらく、大方の落語ファンの方も同様なのではないかと考えているわけですが、そんな噺が詰め込まれているのが、この一冊め。編者の京須偕充がのっけから勝負をしている風が感じられます。

で、そんな一冊めに収録されている演目は

  • 明烏
  • 品川心中
  • 厩火事
  • お直し
  • お若伊之助
  • 駒長
  • 三年目
  • 崇徳院
  • 搗屋幸兵衛
  • 真景累ヶ淵 豊志賀の死
  • 文違い
  • 締め込み

という感じ。有名な比較的大きなネタが集まった豪華絢爛さです。実はほとんどがCD化されている作品ですので、細かいことを言ってしまうと、録音を意識しているため、遊びが足りない演題ばかりということになります。もっとも、非常にストレートに噺が運ばれますので、テキストにした場合の冗長さが一切感じられず、好感が持てます。おそらく、高座を聞いていたら、作品の良し悪しというところではなく、若干不満を感じるのかもしれません。

で、肝心の中身の感想ですが(ネタバレは今回のエントリの趣旨ではないのストーリーには触れませんが)、想像以上に良い買物をした気分です。実際に志ん朝が話しているわけではないのですが、そこに演じている志ん朝を感じさせられてしまうのです。

peteram注目の女性の雰囲気も、それぞれの年齢や生活を感じさせられる言葉で、生かされています。もっとも、頭の中で語り口を想像することによって、本来の高座以上に感じられているだけかもしれませんが。

また、解説で論じていた気もするのですが、枕の使い方がうまいですね。古典落語で語られる世界は、すでに現代日本とは程遠い世界になってしまっているので、そのまま語ってしまうと、正直何のことだかわからないことが多くなります。これを、説明臭くなく話して、噺のイメージを膨らませる。時にはそれが下げに直接絡んでくるわけですが、この辺の仕込をきっちりとしてくれるおかげで、何もかもスムーズなんですよね。初心者でも問題なく入れるように構成されてます。

ま、それぞれの噺が誰の影響を受けているなど、通好みの噺は本書の中の解説で、編者の京須偕充の文章がありますので、そちらの方をお読みいただければよろしいかと。

なんにせよ、その他いろいろな落語のテキストは出版されていますが、入門にはこれが最適なような気がします。同時に、ついでに言わせていただければ、一般に出版されている中では、これが最高かもしれません。

つづく(かもしれません)

志ん朝の落語〈1〉男と女
古今亭 志ん朝 京須 偕充

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